従業員から「相談できる場所がない」と言われて困っていませんか? 中小企業でもハラスメント相談窓口の設置が法律で義務化されていますが、どう対応すればいいのか悩む経営者は少なくありません。筆者が合同会社を設立して3年目、従業員が5名になったタイミングで相談窓口の整備を迫られ、外部委託という選択肢に救われた経験があります。
この記事でわかること
- 中小企業におけるハラスメント相談窓口の設置義務と罰則
- 社内設置と外部委託のメリット・デメリット比較
- 外部委託で従業員の退職を防ぐ具体的な方法と導入手順
ハラスメント相談窓口の設置義務とは?
2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)により、企業には職場のハラスメント防止措置が義務付けられました。当初は大企業のみが対象でしたが、2022年4月からは中小企業も含むすべての企業に適用されています。
法律で求められる具体的な措置内容
厚生労働省の指針では、以下の4つの措置が求められています:
- 事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
- 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 併せて講ずべき措置(プライバシー保護、不利益取扱いの禁止等)
このうち「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」が、いわゆるハラスメント相談窓口の設置義務にあたります。
注意: 相談窓口を設置していない場合、労働局から是正勧告を受ける可能性があります。勧告に従わない場合は企業名が公表されるリスクもあるため、早急な対応が必要です。
中小企業の定義と対象範囲
ここでいう「中小企業」とは、以下のいずれかに該当する企業を指します:
| 業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
従業員数が少ない会社であっても、この義務から逃れることはできません。会社設立後の社会保険手続きと同様に、規模に関わらず必要な対応です。
社内設置と外部委託、どちらを選ぶべき?
ハラスメント相談窓口を設置する方法は、大きく分けて「社内設置」と「外部委託」の2つがあります。筆者の会社では当初、人事担当者を相談窓口にしようと考えましたが、従業員5名という規模では誰に相談しても経営者の耳に入ってしまう構造的な問題がありました。
社内設置のメリット・デメリット
メリット:
- 社内事情を理解した担当者が対応できる
- 追加コストが発生しない(既存の人事部門等で対応)
- 迅速な初期対応が可能
デメリット:
- 相談者が身元の特定を恐れて相談しにくい
- 小規模企業では担当者の負担が大きい
- 相談内容が社内に漏れるリスクがある
- 担当者自身がハラスメント事案の当事者になる可能性
外部委託のメリット・デメリット
メリット:
- 匿名性が高く、従業員が相談しやすい
- 専門家(弁護士、カウンセラー等)が対応するため質が高い
- 中立的な立場での判断が期待できる
- 経営者や人事担当の負担を大幅に軽減
デメリット:
- 月額料金が発生する(相場は月額1万〜5万円程度)
- 社内事情を理解してもらうまでに時間がかかる場合がある
筆者の実体験: 従業員に「本当に匿名で相談できるのか?」と聞かれたとき、社内窓口では説得力に欠けると感じました。外部委託に切り替えた結果、半年で3件の相談があり、2件は早期解決、1件は退職という最悪の事態を回避できました。
外部委託で従業員の退職を防ぐ3つの理由
ハラスメント問題が放置されると、優秀な人材の退職につながります。外部委託の相談窓口は、以下の3つの理由で退職防止に効果的です。
1. 初期段階での問題発見が可能になる
社内窓口だと「大事にしたくない」と考えて相談をためらう従業員が多いのですが、外部窓口ならまだ深刻化していない段階で相談してもらえます。筆者の会社では、外部委託後の3ヶ月間で「上司の言い方がきつい」というレベルの相談が2件あり、経営者として上司に注意喚起することで大きな問題になる前に解決できました。
2. 第三者視点での客観的なアドバイスが得られる
社内だけで対応すると、どうしても「会社を守る」視点が優先されがちです。外部の専門家は労働法令に基づいた中立的なアドバイスをしてくれるため、従業員側の視点も取り入れた解決策を提示してもらえます。
3. 「会社が本気で対応している」というメッセージになる
外部委託という選択肢そのものが、経営者の本気度を示すことになります。「きちんとした窓口がある会社」という安心感が、従業員の定着率向上につながります。実際、筆者の会社では求人時にも「外部ハラスメント相談窓口完備」と記載したところ、応募者からの評価が明らかに上がりました。
会社設立後にやるべきことのチェックリストにも、相談窓口の設置を早期に入れておくことをおすすめします。
おすすめの外部委託サービス「コマッタサン」とは?
中小企業向けのハラスメント相談窓口外部委託サービスは複数ありますが、筆者が実際に導入して効果を実感したのが「コマッタサン」です。
コマッタサンの特徴
- 月額11,000円(税込)〜という中小企業でも導入しやすい料金設定
- 弁護士・社労士・産業カウンセラーなど専門家が対応
- 24時間365日、電話・メール・LINEで相談受付
- 匿名相談が可能で、相談者のプライバシーを完全保護
- 月次レポートで相談状況を経営者に報告(個人情報は非開示)
実際の導入効果
筆者の会社では導入後6ヶ月で以下の効果がありました:
| 項目 | 導入前 | 導入後(6ヶ月) |
|---|---|---|
| 相談件数 | 0件(表面化せず) | 5件 |
| 退職者数 | 年3名 | 年1名 |
| 従業員満足度 | 3.2/5点 | 4.1/5点 |
特に印象的だったのは、退職を考えていた従業員がコマッタサンに相談し、専門家のアドバイスを受けて「もう少し様子を見てみます」と思い直したケースです。その後、社内での配置転換で問題が解決し、今も勤務を続けてくれています。
ハラスメント相談窓口の設置手順【5ステップ】
外部委託サービスを利用する場合の具体的な導入手順を解説します。
ステップ1:サービスを選定・契約する
複数のサービスを比較検討し、自社の規模・予算に合ったものを選びます。コマッタサンの場合、オンラインで申込み後、最短3営業日で利用開始できます。初期費用は不要で、月額料金のみで導入できる点も中小企業には魅力です。
ステップ2:社内規程を整備する
就業規則にハラスメント防止に関する条項を追加し、相談窓口の存在を明記します。具体的には以下の内容を盛り込みます:
- ハラスメントの定義と禁止事項
- 相談窓口の連絡先(外部委託先の情報)
- 相談者のプライバシー保護措置
- 不利益取扱いの禁止
ポイント: 就業規則の変更は従業員10名以上の事業所では労働基準監督署への届出が必要です。10名未満でも、内容を文書化して従業員に周知することが重要です。
ステップ3:従業員への周知・研修を実施する
相談窓口を設置しても、従業員に知られていなければ意味がありません。以下の方法で周知します:
- 全体ミーティングでの説明(15分程度)
- 社内掲示板やグループウェアへの掲載
- 相談窓口のカード配布(財布に入るサイズ)
- 年1回以上のハラスメント研修実施
筆者の会社では、給与明細と一緒に相談窓口の連絡先カードを毎月配布しています。コストはほぼゼロですが、継続的なリマインドになって効果的です。
ステップ4:相談があった際の対応フローを決める
外部窓口から連絡が来た際、誰がどう対応するかを事前に決めておきます:
- 外部窓口から経営者または人事責任者へ報告(匿名レポート)
- 事実関係の調査(当事者双方へのヒアリング)
- 外部専門家のアドバイスを参考に対応策を決定
- 再発防止策の実施と経過観察
ステップ5:定期的な見直しと改善
年に1回は相談窓口の利用状況を確認し、必要に応じて周知方法や社内体制を見直します。コマッタサンでは月次レポートが届くので、データに基づいた改善がしやすいです。
設置後の運用については、顧問税理士や社労士にも相談しながら進めると、法的リスクを最小化できます。
よくある質問
Q. 従業員5名未満の会社でも相談窓口の設置は必要ですか?
A. はい、必要です。パワハラ防止法は従業員数に関わらずすべての企業に適用されます。ただし、従業員数が少ない場合は外部委託が現実的な選択肢になります。月額1万円程度から利用できるサービスもあるため、規模に合わせて検討しましょう。
Q. 相談窓口を設置していないことが発覚した場合、罰則はありますか?
A. 直ちに罰金等の刑事罰はありませんが、労働局から是正勧告を受ける可能性があります。勧告に従わない場合は企業名が公表され、採用活動や取引先との関係に悪影響が出るリスクがあります。また、ハラスメントが原因で従業員が退職した場合、安全配慮義務違反として損害賠償を請求される可能性もあります。
Q. 外部委託の相談窓口で相談があった場合、会社には詳細が伝わりますか?
A. サービスによって異なりますが、多くの場合は相談者のプライバシーを保護するため、本人の同意なく詳細情報は開示されません。コマッタサンでは、経営者には「相談の概要」「重大性のレベル」「推奨される対応」といった形で報告され、個人が特定される情報は伏せられます。ただし、重大な法令違反や生命の危険がある場合は、本人の同意を得た上で詳細が共有されることがあります。
まとめ:相談窓口の設置は「守り」ではなく「攻め」の投資
ハラスメント相談窓口の設置は、単なる法令遵守ではなく、従業員の定着率向上と採用力強化につながる戦略的投資です。
筆者の実体験から言えることは、外部委託という選択肢は中小企業にこそ適しているということ。月額1万円〜という費用で、優秀な人材の退職を1件でも防げれば、採用コスト(1人あたり50万〜100万円)と比較しても十分に元が取れます。
2026年の現在、ハラスメント対策は「やっておけば安心」から「やっていないとリスク」の時代になっています。まだ導入していない経営者の方は、今すぐ検討を始めることをおすすめします。
会社の成長フェーズに合わせて、法人の青色申告やバーチャルオフィスの見直しなどと同様に、ハラスメント対策も定期的にアップデートしていきましょう。

